玄人の独り言                                                 
 

         寒い夜には

 

98年冬のコペンハーゲン、深夜に着陸した飛行機のタラップを下りながら、彼女はつぶやいた。
「冷えるわね。」
「ほんと寒いね、・・・ところで、寒い夜って何ていうか知ってる?」
「・・・・・?」
「・・・サムソナイトさ。」
  
その世界最大のスーツケース・メーカーが「経営理念」と称する社訓集を配ってきたものだから、
ある時期、トイレの壁に掛けていた。便座にすわって格言を読むと、けっこう頭に染みわたる。
以下は、その代表例である。
 
その一、「良い仕事は無言の説得力をもっている」
その二、「晴れた日には晴れを愛し、雨の日には雨を愛す」
その三、「成功した人は、自分の悪い持ちカードを勝因にしている」
 
・・・・いま深夜TVで『ゴッドファーザーpartV』をみているところなのだが、さきほど、年老いた
マイケル・コルレオーネが3代目のヴィンセントを叱った。
 
「敵を憎むな! 判断がにぶる」
 
血気にはやるヴィンセントに自制をうながす場面である。
そういえば、寒い夜の社訓集には次のような格言も含まれていた。
 
その四、「貧は鈍から、茶は茶瓶から、腹がたつのは足りんから」
  
 
Asakawa information      
 
・いちばんの楽しみ
単身赴任も5年目で、いささかグロッキー気味。2週間に1度、奈良の自宅に帰るのを楽しみにしている。ワイフは月にいちど大掃除にやってくる。去年の彼女の誕生日は、わらべ館で日野皓正クインテットを聞いた。凄い演奏だったのに、聴衆が少ない。残念なことです。
 
・いちばんの悩み
単身赴任がエンドレス状態になっていること。おまけに、あと1年で木造の職員宿舎から追い出されるらしい・・・。
 
・サッカー部顧問
小学校6年生からサッカーとギターを始めた。奈文研時代は、昼休みに毎日30分紅白マッチがあって、ドゥンガのようにうるさい鬼の部長だった。同い年のラモスは41歳で引退したが、わたしは44歳まで現役だった。いちばんあっているポジションはリベロかボランチ・・・サイド・バックにも愛着がある。現在、環境大学サッカー部顧問。球離れの早いパス・サッカーを信条とする。これまでみたなかでいちばん強いと思ったチームは、リッピが率いてトヨタカップを制したころのユベントス。女真の騎馬軍団を彷彿とさせるプレッシング・フットボールだった。
 
ギターと音楽
一昨年(2003年)、セミアコースティックのJAZZギターを買った。ウクレレはネックの長い高木ブー・モデル。ベースはヤマハのショッキング・ピンク。ジャズが好きで、最近よく聞いているのはダイアナ・クラールという女性ボーカリスト。ピアノも上手いよ。とんでもない才能だと思ったのは、故ジャコ・パストリアス(べーシスト)。ギタリストでは、やっぱりパット・メセニーかな。コーネル・デュプリーとかR&B系も好きです。若いころはニール・ヤングにいかれていた。あのコード進行は信じがたい。今でも新鮮に聞こえるね。
 
・自転車と野良猫
運動不足と飲み過ぎで体重が増え、体調が悪化した。で、2004年から自転車通勤を始めた。イタリア製のツーリング車を中古でゲットし、晴れると片道8q、往復で1時間自転車にのる。これは非常に気持ちがいい。肩凝りもメニエールもぜんぶとれてしまった。ガソリンの消費も減った。体調がよくなるので、酒がうまい。盛り場に出ても代行がいらない。だから行きつけの酒場へ出入りが増える。酒はもっぱら芋焼酎か泡盛。結果、体重はあまり減らない。こういう生活をおくっているので、冬になって雪が積もるといらいらする。仕方ないから、エアロバイク(室内自転車)を漕ぐのだが、ビアンキほどの快感はない。
自転車で家に戻ると、ベランダに野良猫があつまってくる。名前をつけているだけで3匹。ミーとニーとサン。居酒屋でもらった煮魚の残りは、とくに好物のようだ。話し相手は野良猫だけ。Dance with Wolves ならぬ Dance with Cats! 単身赴任の末期症状だろうか?
 

 

2002W杯 済州島  ドイツ対パラグアイ戦直後                         西帰浦(ソギッポ)スタジアム:帆船のイメージ、借景はハンナ山

 

ポロにのった三年間          
開学直後、県庁の職員Kさんに軽自動車をゆずっていただいた。車検代7〜8万だけでいいというから乗ることにしたのだが、すでに10万キロ近く走っていたため空調その他の部品交換が多く、車検&修理費に18万円もかかってしまった。それでも、結構よく走った。ただ、奈良と往復するさいの高速道路走行がなんとも危なっかしい。2年目、単身赴任解消の約束が反故にされ、ストレスがたまった。こりゃ気分転換するしかない、と決意し、ほとんど衝動的に中古のVWポロを買ってしまった。はじめての外車で、噂どおり車体が重く、高速走行には安定感がある。はじめはこれが嬉しくて、富士山裾野の発掘現場説明会まで車を飛ばしたりしたものだ(写真)。ところが、しばらくして気がついた。外車は故障が多く、維持管理費がたかくつく。この春もタイヤ4本の見積もりをさせたら、えらくたかいので、またしてもほとんど衝動的ながら、国産中古車に乗り換えることにした。で、下取り額を期待したポロの査定はというと、なんと0円。製造年が古く(平成8年)、92500キロも走っているとこうなるのだそうだ。とはいえ、ただで業者にわたすのも悔しいから、ポロに乗ってくれる人 はいないかと、数名の教員や学生に声をかけた。最初はみんな「あっ、もらいます」とくるのだが、名義変更その他の手続き費を聞いてたじろぎ、なかなか決心がつかない。結局、待っているのもばかばかしいので、あっさり業者に譲ってしまった。
 
 

Return (浅川教授室)