1. 中山間地域の活性化と民家集落の再生 |
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浅川研究室では鳥取地域(因幡・伯耆)がもつ「原故郷Urheimat」としての素材とイメージに着目し、おもに民家・集落の調査研究をベースとして、エコ・ツーリズムやスローライフなど「癒し系」の地域へ脱皮するための方途を模索している。以下に代表的な取り組みを示す。 |
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◆「榎欅草堂」の再生と古民家マーケットの構想 | ||||||
2001〜2002年度、県内中山間地域に残存する茅葺民家・集落を対象にして、@旧国府町神護の茅葺民家集落、A日野町茅葺民家の分布、B八東町保木本家住宅、についての調査をおこなった。保木本家は八東町小別府で大庄屋を務めた家柄で、700坪に及ぶ屋敷は茅葺き主屋(江戸時代末に引屋)の前後にハナレを附属させ、広大な庭で建物群を囲む。庭の東側に榎、西側に欅の巨木を配し、屋敷を「榎欅草堂」と号した。調査当初は空き家であったが、調査後から環境大学デザイン学科の学生が寄宿している。建造物の実測だけでなく、庭園の詳細な測量をおこない、1/50スケールの屋敷現状模型を制作した。以上の調査研究を踏まえ、住宅を「料亭」として再生活用する計画案を示した。また、おもに日野町の広域的調査に基づいて、「指定建造物をはじめとする古民家がネット上などで商品として流通していくようなマーケットを確立すべきこと」を主張した。(『鳥取県の中山間地域における過疎集落の活性化に関する基礎的研究』鳥取環境大学、2003年3月) | ||||||
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◆古民家B&B構想 −琴浦町河本家住宅の調査と保存活用計画 | ||||||
琴浦町の河本家住宅は棟札により貞亨五年(1688)の建立と知られ、県の保護文化財に指定されている。昨年度、本学環境デザイン学科は河本家住宅建造物の悉皆的な調査をおこない、河本家住宅の保存活用計画を提案した。保存活用計画では、とりわけヨーロッパ型B&B(Bed and Breakfast)の導入を強調した。B&Bは日本の「民宿」の概念に近い宿泊施設だが、旅客に提供するのは寝室と朝食のみであり、所有者の負担が小さいところに最大の特徴がある。夫婦二人住まいの河本家にはうってつけの活用スタイルであり、これは県内中山間地域の多くの古民家に応用可能である。河本家をパイロット・プランとして、将来的には古民家B&Bのネットワーク作りにつなげたい。(『河本家住宅 −建造物調査報告』琴浦町教育委員会、2005年3月) |
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◆Reversible Rehabilitation −旧鳥取藩御殿医住宅の再生 | ||||||
鳥取市倭文(しとり)に、18世紀の建築と推定される鳥取藩御殿医の旧宅が残っている。平成15年に調査を始め、平成16年にその再生計画に取り組んだ。施主を「単身赴任する本学教授」と仮想し、解体化する現代家族の構成員が寄りつどう場を過疎地の「茅葺き民家」に求めるコンセプトを示す一方、旧宅の文化財価値を尊重し、いざとなったら元にもどせるリーバシブルな改築手法を徹底した。昨今、マスコミでは
before/afterなどの劇的改築に注目が集まっているが、文化財価値が高い建造物の場合、その価値を保ちながら、アメニティの高い住まいに改修していく必要があり、今後も古民家再生のあり方としてリーバシブルな改築手法の開発をすすめていく。(『GPS&デジカメによる鳥取市の文化財建造物MAP作り −附録 Reversible
Rehabilitation:
旧加藤家住宅の再生プロジェクト』鳥取市教育委員会、2005年3月) |
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