最終更新日:2006年3月28日(火)
日本語の若者ことばの英訳語彙集
この企画は、「日本語の若者ことばはどう英訳できるか?」という問題に対して、様々な視点から考え、議論を深め合いながら取り組んでいるものである。若者ことばに関しては、特に高年齢層を中心に、「乱れている」「耳障りである」「表現力に乏しい」など、否定的な見方が多いが、私個人としては、それらのことばが、だれが言い始めたということなく、自然発生的に生まれてくること、少なくとも若者の文化の内部からみればむしろ表現力に富んだ語であること、次々に派生が生まれ、語彙も豊富であること、などから、この「若者ことば」というものを積極的に認める立場をとる。「若者ことば」などと社会現象のように、色々な場で取りざたされるわりには、あるいは、使用している本人達ですら、その意味まではそれほど深く考えることは少ないようだ。この企画は、若者ことばの表現力を、外国語である英語の表現を利用するというユニークな方法で確認するという意味も持っている。
この企画は、東北大学全学教育科目の英語の授業において1999年から2000年にかけて開講したものによっている。講義終了後、様々な方からご意見をいただいたが、それらを参考に適宜修正している。(2001.06.06)
目次
以下はこれまでになされた定義めいた指摘である。
- 同じと見なしている仲間同士でのみ用いられる。
- フォーマルな場面では使われない。
- 話し言葉である。
- ものによっては、かなり年輩の年齢層でも用いられているようだ。この限りにおいて「若者~」という命名はどうか、とも思われる。
- 言語を習得したばかりの幼児や、小学生の使うことばの中に含まれるか?
- 一つの語彙が様々な意味を併せ持つのが一つの特徴となっているようだ。
- その場の雰囲気、いわゆる「ノリ」が大切にされる言い回しである。これも、「仲間うち」で使われるということを象徴している。
- 若者ことばとして定着するには、「語の意味の深さ」「使用場面の広さ」が必要である。この場合、定着というのは、高年齢層にも使用されたり、少なくとも意味が理解されていることを示す。
- 読み書きとは関係ない事柄について用いられる。
- 若者ことばとして定着するのには、2つの場合がある。一つは、テレビ、漫画、雑誌などのメディアを通して普及する場合、もう一つは、全国的に自然発生的におこった場合である。前者は由来を簡単にさかのぼれるが、後者はよくわからない場合が多い。
- 若者ことばを使う環境では、(すくなくとも言葉遣いの上では)上下関係が存在しない。
- アツい(99/11/04)
- アンパイ(00/05/18)
- イケてる(99/05/20)
- イタい(00/06/01, 00/06/08)
- イッちゃってる(99/06/17)
- いっぱいいっぱい(00/02/03)
- いやし系(00/05/18)
- ういてる(00/07/06)
- うざい(99/05/27)
- おいしい(99/12/16, 00/07/13)
- お約束(00/04/27)
- かぶる(99/12/02)
- かむ(00/06/01)
- キてる(99/06/17)
- キモい(00/05/11)
- 逆ギレ(00/05/25)
- キレる(99/05/06)
- 濃い(00/07/13)
- コギャル(99/07/22)
- こわれる(99/12/09)
- さくっと(00/01/13)
- さむい(99/10/28)
- ジベタリアン(00/05/11)
- じもる(00/06/15)
- しょぼい(99/11/25)
- ソッコー(00/06/15)
- ため語・ため口(00/05/25)
- 天然(00/07/27)
- テンパってる(00/04/27)
- ドタキャン(99/07/08)
- 流す(00/07/27)
- はいってる(99/07/01)
- 爆睡(00/06/08)
- パクる(00/06/29)
- ばっくれる(00/07/06)
- ハマる(99/06/03)
- ビビる(99/07/15)
- ぶっちゃける(00/06/29)
- へこむ(99/11/18)
- ベタ(な)(00/01/27)
- マジ(99/06/10)
- まったり(99/06/24)
- ムカつく(99/05/13)
- ヤバい(00/01/20)
-
- 意味
- 「熱中した」「流行っている」「心を打つ」「勇敢な」等、様々な意味がある。
- 使用例:あつい試合・あつい人・配牌があつい(麻雀)・あつい思い・あつい顔
- 泥にまみれ、熱血的なイメージがつきまとい、特に今の若者の世界では、「ついてい
けない」「理解できない」「ひいてしまう」と解釈されるため、むしろマイナスのイメー
ジを引きずっている。
- 自分はそこまで頑張りたくない、くだらない、と思っていることを一生懸命にやる人
に対して、皮肉をこめて使う。
- その一方で、「十分理解できる」「尊敬に値する」など、良いイメージとともに用い
られることもあるようだ。
- 自分に対して使われても別にいやではない、という意見、また、全く興味を持てない
ことに関しては使えない、という意見などもあった。自分にできないことをやっている人
へのあこがれも含まれる場合もあるらしい。
- 英語
- hot
- heat (n.)
- brave
- passionate
- hit (v.)
- excited
-
- 意味
- 元はマージャン用語「安全パイ」から。リーチ、またはテンパイが明らかな局面での、明らかに当たりではない種類の牌のこと。転じて、1) 人に対して、明らかに危険でなく、どちらかというと当たりさわりのない人。2) 危険性は少ないが十分な結果を期待できないまでに妥協した手段、方法など などといった意味がある。
- 『広辞苑(第5版)』には、「毒にも薬にもならないような人」とあるだけで、『現代用語の基礎知識』には、マージャン用語としての意味しか記載がない。また、マージャンを知っている人でさえ、マージャン以外では使用しないこと、マージャンを知らない層にはほとんど浸透していない事などから、「若者ことば」としてよりは、「業界用語・専門用語」として扱うべきなのかもしれない。
- 英語
- safety piece
- safety measure
- the shabby
-
- 意味
- 人間に対して使えば、「かっこいい」の意味となる。特に異性に対して用いれば、かわいい、かっこいい、いかす、などと同義となり、性格よりは、むしろ容姿が重要視される。
- 物に対して使えば、おしゃれである、かっこいい、使い勝手が良く調子がいい、といった意味となろう。
- どちらかというと、深い意味がなく、嫌みのない褒めことばである。マイナスのイメージはほとんどない。ただし、フォーマルな立場で褒める場合などには用いることができない。「イチロー選手はなかなかイケてる」とは言えても、「向井千秋さん、なかなかイケてる」とは言い難い。つまり、「イケてる」対象の人物(もの)は親近感がある、または同じ仲間内である、という印象がなければならないようだ。
- 授業では、ナインティーナインのテレビ番組「めちゃめちゃイケてる!」から使われ始めたと考える人が多かったが、それ以前からすでに使われていたはずである。少なくともこの番組以降流行ったとは考えられる。
- 受講者中、若者ことばとしてリストアップした数が最も多い語彙であった(50人中23人)。そのため、この語は特に関心を持って分析されたようである。
- 対義語はおそらく「ダサい」であろう。
- 英語
- cool
- groovy
- funky
- It's all that!
- It's dope (dope=薬、麻薬)
-
- 意味
- イケてない人・もの・事柄をマイナス評価する場合に使う。本人はそれと気付かず、むしろよいものにしようとしているのに、ちょっとズレていてダサい、不自然、下手といったような場合、うけようとしたギャグがうけないような場合、など。見るに耐えない、見ていてこちらが恥ずかしい、といった苦痛を感じての表現である。
- 厳しい、つらい状況(それほど深刻でなくても)に置かれた場合の精神的苦痛を表現している。(例:「雨降ってきたよー。傘ないのにー。」「イタいね、少し。」)
- 1990年代はじめ頃から、テレビのお笑いタレントの言動等を通して知られる様になり、一般に使われだしたのは1997、8年頃からか?
- 使用年代は20代まで位。女性の方が多用している。(S. A.)
- どちらかというと、まだ何とかなると思われる場合に使う。本当に困ったときは「へこむ」を使う。
- 感動詞的に、「いたっ」「いててて」のように使うことが多い。
- 英語
- bitter
- harsh
- painful
- pitiful
- Ouch! ←感動詞的用法
- stinging
-
- 意味
- 普通でなく、おかしな状態になってしまっている。放心状態である。
- 「行く」からの派生であることを考えると、「別の世界へ行ってしまっている」ということになろうか。つまり、「キてる」では予想可能な状態への変化であるのに対し、「イッちゃってる」では予想不可能なある状態への変化であるということができる。
- 英語
- have gone
- out of one's mind
- queer
- lunatic
- He's (She's, You've) lost it.
-
- 意味
- 「余裕のない」「限界」「ぎりぎりの」といった意味がある。
- もともとは「いっぱい」(一定の容器(場所)が詰まっている様子)からであり、そ
れが拡張されたのではないかと思われる。
- 「いっぱいいっぱい」は芸人から出て来た言葉で、若手芸人がその状況にふさわしい
行動が思いつかないときに「いっぱいいっぱいです。」(自分にはもう限界でなにもでき
ません。)と使われていた。
- 「いっぱい」を繰り返すことで、コミカルなニュアンスを出す。(「どっこいどっこ
い」なども参照)
- また、競馬で「いっぱいいっぱい」は馬の余力がない状態を表していて、それが近年
の競馬人気により広まったのではないか。
- 英語
- too ~ to
- be just enough
- be too much
- beyond one's ability
-
- 意味
- それを見たり、聞いたりするだけで、自分がいやされる人やもの、曲のこと。
- 一般に、人では優香、本上まなみ、松嶋菜々子等。曲では坂本龍一の「ウラBTTB」などに対して使われているようだ。
- いやし系と呼ばれる女優は、きれいであるとか、スタイルがよいというようなことよりも、その人の持つ雰囲気や、清らかなイメージ、透明感などが重視され、「身近にいそう」ろいうのがポイントである。
- 2~3年前(1997頃)から徐々に普及してきたが、去年(1999年)一気に広まったと思われる。
- 「いやし系」の始まりは、1994年の飯島直子のGEORGIAのCMのようだ。
- 今の時代は、不景気やリストラなど暗いニュースが多く、特にサラリーマンなど、ストレスがたまっている人が多く、、いやしを求めている人が多かったことも、「いやし系」ということばが広まった原因の一つだと考えられる。(S.A.)
- 英語
- mental healers
- a kind of comfort
- sooth (ie. soothing music)
-
- 意味
- 周囲に溶け込めていない様子、周りの人とうちとけず、目立っている(なじんでいない)様子をさす。
- 漂っている意味の「浮く」から来ている。転じて、基礎・基盤・よりどころがゆるんだり、なくなったりした状態、特に周りの人と密な関係が結べない状態という意味があり、この意味から派生したものと思われる。
- ラジオ番組で、効果音などが著しくバランスを乱すという意味の業界用語として存在する。ここから一般化したとも考えられる。
- 使用年齢は、中学生頃からかなりの年配層まで及んでいる。ある意味で、「若者ことば」とは呼べないというところまで来ているようである。(S. A.)
- 英語
- out of moods
- out of steps
- conspicuous
- eccentric
- stand out
- out of funk
-
- 意味
- 「しつこい」、特に不快感を伴っている場合。不快感を伴わない場合、「うざい」とはいえない。
- 「鬱陶しい」
- うざい>うざったい の派生が考えられる。「うざったい」は広辞苑第5版(1998年)には掲載されている。「うざったい」は、うざうざ(小さいものが多数集まってうごめく)、うざる、うざつく 等との関連が考えられ、細かいものが多数まとわりついて鬱陶しい、ということから、不快感を伴ってしつこい、という意味で使われているものと思われる。
- 「細かなものがまとわりつく」というニュアンスは、夏の暑い日に汗まみれでいられる「うざったさ」もあり、一概にいえない意味派生もある。
- 「かったるい」という類義語があるが、こちらは自分で感じる感情表現であり、「うざい」は主に他に関して感じる感情である。
- 「うざい」は、「キレる」「ムカつく」と違ってもともと異なる本来的な意味があるのではないからあえてカタカナを混じえる表記にはしない。
- 英語
- lousy 不快。←louse (しらみ)から、シラミがうごめくうっとうしさが、かなり原義に接近している。また「うざい」の「ざ」と、lousy の [z] 音の有声性が偶然とはいえ一致しているのはさらに好ましい。
- unpleasant
- offensive
- drugging ←drug 薬、麻薬。
- annoying
- dull
- You're fucked off! 「うぜー」などという、荒い言い方によく当てはまると思う。
-
- 意味
- 食べ物の味が「おいしい」ことから転用され、1. 好条件の、楽な、得な、幸運な 2.
冗談などをいって、いいところを持っていく という2つの意味がある。
- この語の出現はかなり古く、1980年代の後半にはすでに「おいしいバイト」(労力の
わりに時給が高い場合など)のように使われた。
- 「うまい話」などと言うときの「うまい」がもとになって、「おいしい」と丁寧にかわったものであろう。
- 「うまい」には「巧妙な」「裏がありそう」という、どちらかというとマイナスのイメージがあるが、「おいしい」には、「得な」「楽な」というプラスのイメージがつきまとう。これは、「おいしい」という言い方が「うまい」に比べてより上品な言い方であることとも関係がありそうである。
- 上記。2. の意味はごく最近の言い方である。いろいろなギャグの中で、予想外のお~
かしな返答をすることでウケを狙ったような場合、「それ、おいしいなあ!」などと言う
。(改稿版 H. I.)
- 英語
- delicious
- lucky
- advantageous
- beneficial
- gainful
- get a nice part
- take a good position
- Lucky you!
- sweet!
- Damn that's sweet!
- That's a sweet deal!
-
- 意味
- お笑いのコントの有名なネタ、昔からあるギャグ、あまりにも陳腐になってむしろ欝陶しがられる決まり事に対して、「ああ、またか」と思われるばかりに皮肉とともに期待され、繰り返される行為、言動。
- 例:バナナの皮を捨て、別の誰かがそれで滑るギャグ。時代劇「水戸黄門」で番組終盤で印籠が出てくる場面。結婚式のスピーチ、十分長いのに「たいへん簡単ではございますが、」、大抵上司がしゃべる、説教じみた「3つの袋」の話。など。
- 一般に使用が広まったのは1995~96年頃からか?
- これから起こるであろうその当該行為については、いやがられながらもどこかで期待されているという複雑さを持っているが、その行為が行われなければ何となく場の雰囲気は白けてしまうものである。
- 「お」という丁寧語を付けることで、むしろ皮肉をこめている。(例えば、「お遊び」「お上りさん」などのように。)
- 英語
- hackneyed custom/ expression
- promised/ anticipated custom
-
- 意味
- あるもの同士が同じであること。多くは、持ち物、身につけている衣服など、また、
性格などに対しても使う。
- 同じになった結果、「嫌である」とか「がっかりする」という含みをもつ。これは、
「かぶる」という元の語が、「泥をかぶる」「猫をかぶる」など、良い意味では使われて
いないことからも察せられる。
- 上から覆いかぶさって重なる、という感覚だろうか。
- さらに、「本当はそうあるべきでない」ものが覆いかぶさる、という含みもある。
- マージャンの世界では古くから使われていた。若者ことばとして聞かれるようになっ
たのはここ2~3年の間のこと。
- 英語
- the same
- overlap
- cover
- copy
-
- 意味
- しゃべっている最中にとちること。言いよどんだり、つまったりするときに使う。
- 多く、ギャグのオチや、笑わせる決めゼリフをとちる場合に使う。
- 『現代用語の基礎知識』には1997年に掲載。一般に使われだしたのは1995前後、テレビ番組でのタレントの言動より広まったようだ。
- もともとは「舌を噛む」からで、この意味での使用は、「セリフをかむ」であり、これが省略されたものと思われる。
- 英語
- muff しくじり
- bite one's tongue
- falter
-
- 意味
- 興奮している、頭がおかしくなっている、という意味がある。
- 派生的に、はげている、や、吐きそうである、という意味でもかなりの頻度で用いられるようだ。
- なぜ「来る」からきているのかというと、感情、その他がある限界に限りなく近づく、ということからなのだろう。つまり、なにかあるよからぬ到達点があり(上の例でははげになること、吐いてしまうこと)、その到達点に限りなく接近しているということではなかろうか?よって、ある意味では、あるよからぬ状態は予想可能である。ゆえに接近の意味で、「キてる」から派生したものと思われる。
- 英語
- be coming up (だんだん)近づいてくる
- be approaching
-
- 意味
- 「気持ち(が)わるい」の短縮形。「わるい」という、否定的な、意味ある要素を省いてもなお「わるい」意味が存続しているのは興味深い。
- 若者ことばとしての意味は、1) 形状などが不快である 2) 気分がすぐれない、特に、これといって苦痛をともなうのではなく、単にだるいというニュアンスで用いる。深刻な気持ち悪さにはむしろ使わない。
- 『現代用語の基礎知識』では、1990年に採録。1990年代前半から一般的に使用されている。
- 「きもてー」「きもけー」「きもわるい」などということもある。なお、関西では、「気色悪い」からの「きしょい」もあり、ほぼ同じ意味でもちいられる。ただし、こちらは気分の悪さには使わない。
- 一部、「きもちいい」の略語として用いられることもあるようだが、少数派である。
- 英語
- grotesque/ gross (スラング)
- nasty (That's nasty)
- feel bad
- creepy
-
- 意味
- 「キレる」からの派生語で、「逆にキレる」こと。
- はじめに「キレられた方が今度は逆にキレる」という意味で使われ、次の段階として、相手がキレていなくても、たとえば穏やかに注意されている場合でも、言われているほうが急に逆上することも含むようになってきている。
- 突然に起こる、というのが「キレる」のもつ主要な特徴だと思われる。そして、逆の方向である「逆ギレ」には、さらに突発性がともなっている。さらに予測不可能ということからの意外性、当面の対処に困るという状況も付随的に発生する。
- 『現代用語の基礎知識』1999年度版に掲載。「キレる」に比べてかなり新しい言葉だといえる。
- 英語
- snap at someone for doing something
- snap back at someone for doing something
- backfire
-
- 意味
- もともとは漫画で、頭の血管が浮き出たり「ブチッ」という音とともに怒りの表現として登場。
- おそらくは血管が「切れる」イメージか。それではどこの部分の血管かということに関しては、漫画の世界での描写から額の横の部分またはこめかみという意見が大半。また、コンピュータなど、電化製品の回線が切れたときに正常に機能しなくなるイメージに近いことから、からだの中心部(胴体)と脳のある頭部をつなぐ首の部分の血管ではないかとも思われる。
- 前後の見境がなくなる様な怒りが起こり、抑えられなくなる。
- 理性を失う。
- その結果、時に狂暴になる。
- 英語
- lose 失う。夢中になる。(一単語で表わすことで簡潔で言いやすいものとなる)
- to lose it (i.e. That guy lost it and went nuts)
- fly into a fury
- snap ボキッと折れる
-
- 意味
- 人の顔について、彫りが深く、しつこく感じられる様子を表わすことば。
- 最近は、性格が得意でそれがあまりに目立ちすぎる、という意味で、「キャラ(性格)が濃い」のようにも用いる。
- そのあまりに目立ちすぎる特徴のために、全体のバランスがとれていないとさえ感じさせる。
- 英語
- ludicurous
- eccentric
- dense
- deep
- rum へんなやつ
-
- 意味
- 元は「高校生のギャル」→「コーギャル」であり、ディスコなどの立ち入りできない女子高生に対して、従業員が侮蔑的に呼んだのがはじまりらしい。
- これがさらに「コギャル」と略されるに及んで、コ→子、娘 のように分析されて現在に至ったものと思われる。
- ここからさらに「孫ギャル」も派生した。
- 「コギャル」の属性としては、茶髪、短いスカート、ルーズソックス、ヒールの高いサンダル、ブーツなど、姿格好に関するものである。さらに、これらのファッションは画一的で個性が感じられない。
- だらしがない、言葉遣いが悪い、しっかりした考えをもっていないように見える、など性格的な属性も感じられるが、これらは二次的な意味素性と考えていいだろう。
- 知性が感じられない、なども同様である。
- そもそも「~ギャル」という言い方があり、これには若い女の子を多少皮肉ったニュアンスがある。これに「小娘」の「コ」がついたという見方もできる。そして、さらに皮肉が込められる。
- 全ての女子高校生がいわゆる「コギャル」ではないことに特に注意しなければならない。
- 英語
- co-gal みんな同じ格好をしている、ということから。また、音もそろっている。
-
- 意味
- 人間に対して、普段と違うおかしな行動や態度をとっている場合に用いる。
- よく用いられるシチュエーションは、酒に酔っ払って変な行動をとり始めた人に対し
て、とか、誰かを非常に好きになってしまって何を言ってもそのことばかり言っている人
に対して、などである。
- 「こわれる」のは、プライド、判断力、羞恥心、理性などである。人間の思考回路が
まるで機械仕掛けででもあるようにあえて考え、その機械が「故障」してしまったとする
、(擬人化に対することばがあるとすれば)「擬機械化」である。
- 類義語に「キレる」がある。両者の違いは、「キレる」が外的要因が関与するのに対
し、「こわれる」は酩酊、熱愛など、自発的である点である。
- 英語
- out of order
- queer
- bug
- broken
-
- 意味
- サクサクという擬音語より発生し、菓子、野菜など、切ったり噛んだりする時の軽快
な音の「軽やかさ」「軽快さ」から意味が来たと考えられる。
- 「軽快」「早く」「簡単に」という含みをもつ。
- 使用例としては「今回のレポ-トはサクッと終わった。」(今回のレポ-トは手間が
かからず簡単に終わった。)
- 1980年代中頃にはすでにお菓子のCMなどで積極的に用いられていた。(サクサクし
たクッキ-や「とんがりコ-ン」などのスナック菓子のもの)
- 古くは、「水を注ぎ入れる音」として、宇治拾遣物語に登場。
- 仕事を「サクッと」片付ける、という時は、「何よりも早さを優先する」という含み
をもっているようだ。
- 英語
- crunchily
- lightly
- easily
- simply
- crisply
- click
- take it easy
-
- 意味
- '95頃には使われていたようであるが、かなり年配の世代で認識され始めたのはここ1~2年のことである。
- 漫画の世界で、あたりが暗くなり風が吹く、などの視覚的表現とともに定着したようだ。
- 「当たり前で面白くない」
- つまらないギャグ→場の雰囲気が冷めてしまう→さむい
- 何かの欠如→虚無感
- 場合に応じて「さぶい」「さぶっ!」などということも。
- 英語
- cold
- flat 意図が失敗に終わる
- chill (n.), chilly (adj.)
- air-flozen, air-pausing
-
- 意味
- いつでもどこでも他人の迷惑を考えずに直接地べたにすわっている人。
- だらしがない、態度が大きい、ずうずうしい、という、悪いイメージがつきまとう。
- 地べたに座っている人全てを指すわけではなく、年配者が見ていて心象を悪くする場合のみ使用される。そのため、若者の集団を指すことが多い。路上生活者(ホームレス)には適用されない。年配者が「最近の若いモンは...」というノリで使われる。
- 語源としては「地べた」に語尾'-ian' 「~な人、~の専門家、~主義者」を付け加えたのではないかと思われる。
- 「菜食主義者」の「ベジタリアン」をもじってできたのではないかという意見も多くみられ、「オバタリアン」の悪いイメージと重なるという意見もあった。
- 1995年頃に出現し、主に(年配の)評論家が現代の若者を批判するときに使われる。そろそろ死語になりつつあるという意見も。
- ジベタリアンが多くいる都会では浸透しているが、あまりいない地方ではたいして知られていない語である。(H.I.)
- 英語
- the young/ kids sitting anywhere
- people sitting on the ground/ earth
-
- 意味
- 1. 地元(居住地からそれほど離れていないところ)で遊ぶ。2. 地元(新しく住むよ
うになった場所)に慣れ、地元化する。という2つの意味がある。
- 1995年ころから使われ始め、1997年~98年ころにより浸透したと思われる。
- 若者の行動範囲が広がり、居住地周辺で遊ぶことが減り、特別なことになったので、
「じもる」という言葉が生まれたのでは。
- 一方、地元で遊ぶことが少なくなったので「じもる」という言葉が使われることも少
なく、あまり浸透していないようだ。
- 語源は「ジモティー」「ジモ通(つう)」などと同様、「地元」であり、地元+る
で動詞化されて使われ始めた。(S. A.)
- 英語
- enjoy oneself in one's territory
- set/ grow/ become familiar with that area
- fit/ adjust oneself to that area
- be fitted to ~a
- Hang out in the hood
-
- 意味
- 「さえない」「ぱっとしない」「貧弱な」という意味である。
- 「しょぼしょぼ」の「しょぼ」に、形容詞化する「い」をつけて「しょぼい」となる
。類語で「ヘボい」がある。「ヘボい」には「かっこわるい」という意味があるが、「し
ょぼい」にはその状態に陥ったことに対しての一種のあわれみのようなものが感じられる
、という意見もあった。
- 本来あるべき(あってほしいと望む)姿、形、性能よりも劣っている状態。
- 表記に関しては、カタカナには鋭さや冷たさが感じられるため、なさけなくぱっとし
ない意味を持つ「しょぼい」に対してはひらがな表記を敢えてすることで、その効果を表
わしたい。
- 英語
- poor
- uncool
- naff
- shabby
- dull
- weak
- suck (実際のスラング)
-
- 意味
- 『現代用語の基礎知識』(自由国民社、1992~1996年度版)では、「即刻」が略されて「ソッコ」、語末が長くなって「ソッコー」が形成されたとされる。一方、『知恵蔵』(朝日新聞社、1997年度版)では、「速攻」からであるとの記述がある。現在では、特に本授業受講学生を中心に「速攻」から来たとの解釈がほとんどである。
- 若者ことばとしての意味も、即刻、すぐに、という副詞的な意味と、(すぐに)終わらせるという「攻め」の意味をともなった場合がある。「速攻」からの派生を考えた場合、「攻める」のは、到達すべき目標であり、つまり、「ソッコーで来い!」という場合は、指示された場所にたどり着くことに対しての「速攻」なのである。
- 使用時期は、上記掲載の年鑑等より、1990年前後頃からと考えられる。なお、コミック「SLAM DANK」(1990~1995、『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載)で、バスケットボールの攻撃の場面で頻繁に使われた表現であって、このことが「ソッコー」ということばを流行らせた一因であるとも考えられる。
- 英語
- rapidly
- quickly
- straightaway
- dash down
-
- 意味
- 相手が目上でも友達と話すのと同じように使う言葉
- 立場が下の者から上の者に対する場合に用い、同じ言葉遣いであっても、立場が同等、あるいは下の者に対する場合には「タメ口」とは言わない。
- 本来敬語を使って、言葉の上で自分より上に位置付けなければならない相手を、敬語を使わずに自分と同程度の立場に下げているという点で「なれなれしい」「生意気」「失礼」というマイナスのイメージがある。一方、「親しみやすい」などというプラスのイメージも持っているようだ。(例:(年下の人に対して)そんなに他人行儀にならなくても、タメ口で話していいよ。)
- 語源としては、「さいころの同じ目」という意味の博打用語「ゾロ目」「同目」からの「タメ」からきたようである。それが「同じ」という意味になり、1960年代には不良用語として「五分五分」の意味で使われ、次第に一般化されていくなかで「タメ年」「タメをはる」などといった派生語とともに定着したものと思われる。一般に使われるようになったのは、『現代用語の基礎知識』で1978年度版に初出ということからして、それ以後ということになる。
- 使用する年齢層は、中年世代まで浸透している模様。中学・高校時代に使用しはじめるという意見が圧倒的で、これは、この時期に先輩・後輩という上下関係をはじめて経験することの裏返しであろう。
- 「タメ語」は、「タメ口」より使用頻度は少ない。「タメ口」と表現し飽きた世代層で新しい言い方として「タメ語」と表現し出したとも推測される。(H. I.)
- 英語
- even talk/ speaking
- familiar/ informal speaking
- rappin with your homies
-
- 意味
- 狙っていない(意図していない)のに面白いことを言ったりしたりしてしまう人、あるいはその行為、また、物事に対する反応が普通の人と違う様、その人、を意味する「天然ボケ」の省略形である。
- 「天然ボケ」はかなり古くから使われているが、「天然」は中高年になるとわからない人が増える。使用は1990年代中頃から顕著。
- 「天然ボケ」は人にもよるが、マイナスのイメージを伴うが、「天然」となって「ボケ」が抜けることで悪意が減り、むしろ、面白い、優しい、といったプラスのイメージで捉えられる。
- よく、「天然はいってる」という表現で使われる。(H. I.)
- 英語
- natural ridicule
- natural humor
- You have a natural fun. 天然入ってる。
-
- 意味
- 1) 「余裕のない」「ぎりぎりである」「限界の一歩手前」2) 「おかしくなりかけている」の2つの意味がある。共通しているのは、ある(よくない)状態になるほんの少し前ということである。
- 類義語として「いっぱいいっぱい」か?
- 語源は、マージャンの「テンパイ」から。あと一つの牌が来れば上がれる状態。ある状態へ向かう一つ前、ということから上の意味ができたようだが、マージャンの場合はそれがよい状態(その局で勝つ)であるのに対し、若者ことばではむしろ悪い状態へ向かっているという点が興味深いところである。
- 2) の意味では、「キてる」「イッちゃってる」がかなり近いが、「テンパってる」はそれほどの程度ではない。
- 年鑑、辞書等に明確な記載がいまだなされていないので決定的なことは言えないが、1990年代中頃から使われはじめた模様。
- 使用年齢は20代前半くらいまで、マージャンをよくする大学生、特に男性が使用する機会が多い。
- 女子高生にはあまり浸透していないようだが、これは、マージャンとのかかわりが希薄なせいだとの見方もできよう。
- 上の2つの意味は、人により、どちらかの意味で使うのが普通で、両方の意味を使い分けることは少ないようだ。(S.A.)
- 英語
- It's beyond me.
- lose one's composure
- just before mad/crazy
- be about to go mad
-
- 意味
- 「土壇場でキャンセルする」の意味で、「ドタ」は「土壇場」、「キャン」は「キャンセル」の略である。ただし、略さない、「ドタンバキャンセル」などという語は存在しない。
- その行為には悪意が感じられる。だから、止むに止まれぬ理由でのキャンセルに対しては使うことができない。
- ワイドショーなどで使われる場合、むしろコミカルなニュアンスがつきまとう。
- 普通は丁寧に断ることはなく、なにかの直前に何も言わないで逃げてしまうことが多い。
- 英語
- be canceled suddenly
- break off
- get the latest cancel
- throw away promise
-
- 意味
- 1) 相手の働きかけを真正面から受け止めずにそらす。動作を力まずに行う。(『大辞林』)2) その動作や行為に対し、その場の雰囲気を維持するために、あえて突っかかることをせずに気にとめない。 という二つの意味がある。
- 1) は『大辞林』の記述では、上に動詞の連用形を伴う、とある。つまり、「受け流す」「聞き流す」などのことであり、「流す」単独で使われる場合、より若者ことばらしくなる。
- 「ごめん、今言ったこと流しといて。」などと使う。この場合、「今言ったこと」とはまちがいや曖昧なことを含んでいること、あるいは思いの他うけなかった冗談などで、それに気をとめないで話を続行させることを指示している。
- 『現代用語の基礎知識』などの年鑑、関連のホームページに記載がないこと、その他の理由により、出現時期、使用年齢域等は特定できなかった。
- 英語
- leave well alone
- let ~ pass
- dodge
- parry
- not ~ seriously
-
- 意味
- 現代の若者ことばとしては主に次の二つの意味で解釈される。
(1)その状態にある(例:あきらめモードはいってる、ブルーはいってる)
(2)特に芸能人やある特定の性格の人に似ている(例:ヒロスエはいってる、マザコンはいってる)
- 似ていたりする、その状態は一時的、あるいは部分的であって、そっくりそのまま似ていたり、その状態にあってはいけない。
- 自分のことに言及して用いることはない。
- ある状態、あるいは芸能人らしさという素性のなかに「はいっている」というイメージか?しかしながら、はいっているのはその一部でなければならないことになる。
- その「似ている」状態は、いくぶん視覚的である。
- 英語
- be in ~
- a bit of ~
- have ~
- be included in ~
- produce ~ atmosphere
-
- 意味
- 思いっきり寝ること、あるいは深く眠ることである。
- 自分の意志とは無関係に長時間眠ってしまうことや、、電車の中、授業中など、本来の就寝時間ではない時に、起こされても全く起きない程深く寝ている状態など、さまざまな場合で用いられる。
- 「爆睡」は「熟睡」より程度が大きいのだが、2つの語の違いはさだかではない。ケースバイケースで使いわけられる。「爆睡」には、あせりや反省の意が含まれ、「熟睡」はさわやかな感じがするという意見もあった。
- 語源は、「爆笑」「爆走」などという語の中で「中身が一気にはじけて出る」という意味で強調表現として使われている「爆」と、「睡眠」の「睡」が合わさってできたようだ。
- 「爆睡」は、静的な行為としての睡眠に対して、激しさを表わす「爆」の字で強調している点で、非常に特徴的だと言える。
- 出現時期は、おそらく1980年代頃から。1990年代になってから広く使われるようになった。(H. I.)
- 英語
- dead sleep
- sleeping like a log
-
- 意味
- 1. 店先の商品などをかすめとる。かっぱらう。金品をだましとる。2. 他人の作品、作風をまねる。
- 全体として「盗む」という意味であるが、、街中の好きなアイドルポスターを取ったり、友達に借りた本やCDを返さずそのままにしていたりなど、比較的程度の軽い「盗み」を指す。「ちょっと拝借する」といった感じである。
- 上の2. の意味でも「盗作」といった深刻な意味ではなく、法に触れない程度の「まね」である。
- 「パクる」は、旧制高校でも使われていた。この場合はドイツ語の'packen (つかむ)' が語源ではないかとされる。また、山形県、兵庫県などには方言として「パクる」が存在する。
- 言葉自体、旧制高校で使われていたように、かなり古い。ただ、一度すたれてから再び使われるようになったようで、おそらく1995年ごろから若者の間で使われ始めた。(H. I.)
- 英語
-
- 意味
- 意味は、1) しらばっくれる、とぼける、2) 大事な用(学校の授業やアルバイトなど)をさぼる、それから逃げ出す、という二つが考えられる。
- 使用時期は、漫画の記述から、それを中心に1980年代中頃から。
- 「サボる」との違いについて。たとえば、上司、先生からの呼び出しをくらった。それに対しては、「サボる」とは言えないが、「ばっくれる」とは言える。「ばっくれる」は当然しないといけない事柄や状況下であってもそこから逃げ出す、ということである。
- 使用年代は、漫画の影響などから、中学生から高校生が圧倒的。年齢とともに使用が減る。これは、社会的責任とともに「ばっくれる」ことが許されなくなるからではないか?
- 英語
- sneak away
- slip out
- skip
- play innocent
- cut ←「授業をさぼる」意味のスラング
-
- 意味
- 主に、次の2つの意味がある。(1) 似合っている。(2) 熱中する。凝る
- (1) の場合、特に異質なもの同士であるとか、意外性があるといった、特異性が意味素性としてある。例えば、「あいつは、背広に7:3分けさせるとハマるよな。」と言った場合、その表すスタイルが異様であるというニュアンスがあるのである。
- (2) の場合、永続的、あるいは、習慣的と言うよりは、一次的、一過性の興味である様子を表している。これからは、「おたく」とか、「マイブーム」といったことばが連想される。
- もともとの「はまる/はめる」には、「穴にはまる」「罠にはまる」など、マイナスのイメージがある。これは、その状態に否応なく引きずり込まれる、という強制力が働くためであり、自分の力以外の力にコントロールされているイメージがある。故に、英語にする場合は、受動態を使うべきであろう。
- また、このもとのことばには、「しっくりする」「ぴったりあてはまる」といったプラスのイメージも合わせ持つ。このことからは、心地よい調和や協調ということが印象づけられ、そこから若者言葉としての「ハマる」が派生したのだろう。
- 英語
- be absorbed in 吸い込まれる
- be addicted to
- obsess 心がいっぱいになる
- make a fetish of
- fit
-
- 意味
- 広辞苑第5版によると、「ビビ(びび)る」の用例として、江戸時代の『俳風柳多留』のものがあり、この語の歴史は古い。しかしながら、最近の使い方としては、(おそらく)40代以上くらいの年輩の層ではあまり使わないことを考えると、ここ数十年の期間に限ると、十分に若年層の用語であるようだ。
- それで、若者ことばとして定着した「ビビる」は、どうやら和歌山、徳島の方言「びびる」からきている。この語の意味は、ふるえる、響く、というものらしい(『北から南方言ものしり事典』(啓明書房)。そこに、「緊張のためふるえてしまう」の意味を含んで京阪神に入り、その後東京へ、そして全国へ広がったものと思われる。
- 現在の若者ことばとしての「ビビる」は、1980年代初頭にはすでに存在していた。
- 語の意味は、「おびえる」「気後れしてしりごみする」「びくびくする」などである。
- それほど強烈な恐怖はないが、なにがしかの恐ろしさや怖さが感じられ、この意味において「びっくりした!」と「ビビった!」は違っているのである。
- 英語
- tremble
- be struck
- be timid
- stiffen
-
- 意味
- 「うちあける」が変化したもの。隠していることをすっかり話す、という意味。
- 「ぶっちゃけると」「ぶっちゃけた話」などという形で使われることが多い。
- 「ぶっちゃける」内容は、どちらかというと深刻な話題ではなく、笑える程度の軽い話題の場合が多い。
- 使用年齢層はかなり上の層まで浸透している。
- 英語
- to tell the truth
- expose to view
- open-hearted
- frankly speaking
- Lay out it there
-
- 意味
- 「おちこむ」「がっかりする」「気分が滅入る」といった語が意味的近く、何かショックな出来事に対する感情の起伏を表す。
- 江戸時代に既に使用されており滑稽本など庶民に親しまれていたようである。その一方でいわゆる「若者ことば」としてはここ2~3年で、つまり1990年代後半から定着したに過ぎない。
- 落ち込んだ感情が外に向かうのではなく、内に向かうというニュアンスがある。
- 外的要因による場合に多く使われている。
- 類義語として「なえる」「ブルーになる」などがある。たとえば、「ブルーになる」はどちらかというと感情面がよりよく表現されていて、それに対して「へこむ」は、形が変形する、といった物理的ニュアンスが感じられる。標準的で平静な状態があり、それがなにかの拍子にくぼんだような状態になる、といった感覚であろうか?
- 英語
- dent
- sink
- be in the blues
- get down
- depress(ed)
- knock me out
-
- 意味
- ありふれた、平凡な、誰でも思いつきそうな使い古されたことを言ったりやったりす
る時に使われる。
- ベタなギャグ、ベタなドラマ、などのように使う。
- お笑い番組やバラエティなどのTVから広まったものと思われるが、現在まで使用者
がそれほど多くないことを考えると、業界用語(それも楽屋ネタ)が広まったに過ぎない
と見るべきか?『現代用語の基礎知識』には未だに記述がない。
- 「べた」とはもともと「隙間なく全体に広がっているさま」「平坦な様子」を表す言
葉でそ
こから「刺激がなく新鮮味のないさま」になり「平凡」「おもしろくない」になった。ま
たは「平坦」から「抜きでていない」の意味となった。
- 「べた~」は本来的にある。例えば、「べたぼれ」「べたぼめ」など。また、「地べ
た」もあり。
- 英語
- common
- flat
- just another
- trite
- ennui
- trivial
- whack (ie. That stuff is whack man)
-
- 意味
- 「まじめ」がもとで、それが略された形であることはほぼ間違いない。しかし、意味はもはや「まじめ」ではない。
- 例えば「マジ?」というのは、「まじめに言ってるのか?」から派生したのだろう。
- では意味はどうかといえば、およそ次の2つとなろう。
1. 強調。非常に、の意味。例:「マジ疲れた!」「マジうまい!」
2. (驚きと共に)本当?本気? 例:「あいつ、宝くじ1等が当たったって---マジ?」
- いずれの場合も、ただならぬほど真剣に、とか、本気で考えて、といったニュアンスがある、ということでは共通しており、そこらあたりから英訳を考えたい。
- マンガ、コピーなどで、「真剣」「本気」の字を当てることがよく見られる。
- 英語
- seriously 真剣に、ただならない
- really
- terribly
- You're kidding ←kid こども、子供っぽい、冗談 はやめろ!
- no way
- so
-
- 意味
- 広辞苑第5版(1998)によると、「味わいがまろやかでこくのあるさま」とある。初出はマンガの『美味しんぼ』(雁屋 哲・花咲アキラ、1~67巻、小学館)であると思われる。つまり、初めに現れた意味は、食べ物の味についての表現である。
- 最近は、「マクドナルドで(友人と)まったりする」のように用いられる。こちらの意味は、「のんべんだらりと時を過ごす」ということになる。
- 味についての使用から、刺激のないやわらかい味わいや、その料理のおいしさがじんわりとおとずれるという印象がある。しかも、その料理はどちらかというと粘質の、どろどろした料理に違いない。
- これから派生したと思われる「のんべんだらりと時を過ごす」には、リラックスしている、誰にも邪魔されない自由な時間を過ごす、平和である、などの意味合いも含まれている。
- したがって、「決まった仕事にも就かないでまったりする」のような表現は不可能となる。
- 「何もしない、何も考えない」のは、否定的では決してない。むしろ積極的にその状態を楽しんでいる状況である。
- 英語
- syrupy シロップのような。味のイメージと合わせると非常に適当な訳語
- feel relieved
- lazy
- idle
- loose
- carefree
-
- 意味
- 「むかつく」は、もともとは、吐き気や胸やけをともなう不快感に対して使われていた。その不快感に近い感情表現ともとれる。
- 「腹が立つ」という意味である。が、その他もろもろのよく表現できない感情もあわせ持っている語だと思われる。
- 不快な感覚、不快な感情一般を表現している。
- 「キレる」と違い、理性が働く余地はまだある。
- 怒りの感情表現について、「腹が立つ→頭にくる」のように激しさが増すものと仮定すると、「胸」で起こる「ムカつく」は、その途上の怒りであることになる。まだ「激しい怒り」とまでは行かないが、その程度はかなり高まっている。そしてその感情がさらに高まる方向に向かうのか、そのままおさまってしまうのかはまだわからず、どう発展するのか分からず、非常に不安定な感情の状態であると考えられる。その不安定な苛立たしさが、吐き気や胸やけをともなう不快感と類似のものとして「ムカつく」という表現で広まったとも考えられる。
- 英語
- sullen むっとする。
- suck 不快だ。最低だ。
- He's/she's a jerk jerk=愚かもの、痙攣(でも最近 Jerk はダサい言葉。)
- Sick! その場の雰囲気が病的であるという意味
- nauseate 吐き気をもよおす。
-
- 意味
- 「あやぶい」(不良仲間で「危ない」の意味で使われていたもの)→「あ」の省略、「ぶ→ば」になり、→やばい という派生をしたということである。
- 『現代用語の基礎知識』には、80年版に初登場、「危険な、あぶない、まずい」として掲載される。
- 今の用法では、次の3つがある。1) 不都合。危険。(広辞苑にあり)2) 非常によくない。格好が悪い。3) 非常によい。(困るほどに?)
- 1) の意味は上記『現代用語の基礎知識(80年版)』に掲載されている。2) はこれが広義化して、広く「悪い」の意味となった(90年代からか?例:「この人ヤバイ!」(この人は普通ではない。かかわりたくもない。))。
- 3) の意味としては、常軌を逸したものを危険と感じるが、同時に自分の感覚から理解できないほど不都合な場合、転じてそれが心地よい場合にも使われはじめている。(多分99年夏ころから一般的に使われ始めた。使用例:「(服や靴に対して)これはヤバイよ!」(これは良過ぎてどんなことをしても手にいれたいぐらいだ。))
- 3) の意味は、ファッション雑誌などで積極的に使われている。アパレルの分野は若者の流行に密着しているので言葉も使われやすいのでは?
- 英語
- over the sense
- It's beyond me.
- risky
- serious
- trouble
- dangerous
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